マンション管理全般

大規模修繕工事と先日の地震

こんにちは。

先月関東地方で大きな地震が2回ほど起こりました。

1回目、2回目の地震があった当日は、両日ともに埼玉県にいたのですが、1回目は震度4、2回目は震度5弱程のゆれでありました。

さて、皆様も週末の夜半にあった2回目の地震は記憶に新しいかと思いますが、私はとある管理組合様の臨時総会に帯同させていただいておりました。

第二回の大規模修繕工事の実施に伴う駐車場の専用使用権の廃止と規約改正について、第2回大規模修繕工事発注の承認が審議されました。

こちらの管理組合様は駐輪場不足とそれに伴う不法駐輪に長年悩まされてきましたが、今回の大規模修繕で元地権者様がお持ちの駐車場の専用使用権を廃止し、長年稼動していなかった中庭の施設を撤去することによって生じたスペースに駐輪場を増設するという計画です。

昨年7月に実施された定期総会で承認された管理会社への修繕設計図書の作成業務の特命発注から始まり、改修のプランの審議、3段階における工事会社選定等、透明・公平な大規模修繕工事事業実施のために理事会の皆様がご尽力されたことが他の組合員の皆様にも評価され、規約改正、大規模修繕工事発注の承認(重大変更)両議案ともに特別多数決議ですが、総会参加者の満場一致で、可決されました。

管理組合にとって、大規模修繕工事は多額の資金を使う大きな事業です。また、建物の性能を維持するとともに、今回の駐輪場問題のように、経年とともに生まれてきた新たなニーズに応えるべく、建物の性能を向上させるリニューアルも検討に含まれてくると思います。

今回のように、ほとんどの組合員が納得するような事業の推進のためには、念入りな準備をするとともに、理事の方々が組合員の方々に明瞭な説明をすることが必要となってきます。

この理事の説明責任の遂行のために我々マンション管理士が今後もお役に立てればと痛感させられた臨時総会でした。

今週は、神奈川県複合用途型マンションで定期総会が開催される予定です。

総会ラッシュが続いておりますが、健康に留意して皆様のお役に立てるように精進したいと思います。

マンション管理士
古谷 太郎

大規模修繕工事~あるご相談~

こんにちは。

マンション管理士の古谷太郎です。

今回は大規模修繕工事について話題にしたいと思います。

以前、大規模修繕工事について次のような相談を受けたことがあります。ちなみにこの方は一区分所有者であり、理事ではありません。

「理事会は大規模修繕工事について、管理会社に特命発注することで、総会決議を図ろうとしているが、価格が高いのではないか。また、相見積もとらないで、管理会社に丸投げしようとしている理事会は無責任ではないか。自分は理事ではないので、管理会社や理事会に何を言ってもあまり相手にしてもらえない。総会が1週間後に迫っているが、何とかならないだろうか。」

このような趣旨のご相談でした。しかしながら、「残念ながら今回の大規模修繕工事については手遅れです。」と申し上げるしかありませんでした。

なぜならば、大規模修繕工事は様々なプロセスを経て成り立つ事業であり、「発注の決議」は合意形成の最終段階ともいえるからです。

昨年度より私は、東京近郊のある管理組合(単棟型)の第二回大規模修繕工事の事業に関わらせていただきました。この管理組合が来る5月の臨時総会で大規模修繕工事の実施の承認を決議する予定ですが、ここまでたどり着くまでに次のようなプロセスをたどりました。

①大規模修繕工事の基本方針に等に関する検討

(設計管理方式による大規模修繕工事の実施を前提とする)

②修繕設計図書作成業務を内定

(管理会社に特命発注することとした)

③大規模修繕工事の検討及び実施に関する基本方針とマスタースケジュールの立案・採択

④通常総会で大規模修繕工事の検討スケジュール及び修繕実施設計図書の特命発注を承認(昨年の7月)

⑤修繕実施設計図書作成業務の発注→中間検討、報告など

⑥工事項目の確定

⑦工事会社の見積参加条件の検討、確定及び公募広告の掲載等

⑧修繕実施設計図書の納品(ここまでで年内)

⑨工事会社1次選考

(書類選考、見積依頼会社の決定、見積依頼)

⑩工事会社2次選考

(見積もり合わせ及びヒアリング選考対象会社の決定等)

⑪工事会社3次選考

(ヒアリング選考→工事発注会社の内定)

⑫工事実施計画案の作成と内定

⑬理事会にて工事実施計画案の採択

(5月中)

⑭臨時総会にて大規模修繕工事の実施の承認を決議

(5月下旬)

いかがでしょうか。

この相談者の方は、以上のプロセスの⑭の段階で私に相談に来られたのですが、検討及び合意形成における最終段階に来ており、もうこの段階で管理会社への特命発注を覆すのは難しいということがお分かりいただけると思います。

大規模修繕工事の適正な実施は資産価値の維持という観点にたっても、管理組合にとって非常に重要な事業といえます。

「適正な」というのは、管理組合が主体的にかつ透明・公正に事業を実施し、組合員に対する説明責任を遂行し、多くの組合員が納得できるような事業の実施をするということだと思います。

今回の相談者の方のように「手遅れ」ということにならないためにも、

「何かおかしいのではないか」と不安に思われたら早めにご相談ていたけたら幸いです。

マンション管理士

古谷 太郎

 

 

 

 

 

少年時代の思い出(団地かマンションか)

こんにちは。

マンション管理士の古谷太郎です。

本日は私が少年時代を過ごした千葉県郊外の「マンション」を話題にしようと思います。

皆さんは「マンション」と「団地」という言葉からどのような印象を受けるでしょうか。少年時代の私は、この「マンション」と「団地」というのは明確に違うと思っていました。

当時の私の住んでいた「マンション」から自転車で15分くらい行ったところに○○団地という団地があったのですが、ちょっと広めの敷地にエレベーターがない5階建位の古い建物がたくさん建っている、というような感じです。

私の「団地」のイメージはまさしくそれで、自分が住んでいた11階建の建物は、「マンション」なのだと思っていたのです。私は、非木造の中高層集合住宅こそ「マンション」だと思っていたわけです。

ところが、その後少年時代の私の思い込みは半分正解で、半分誤りであるかもしれないことが分かりました。

結論から言うならば、私の住んでいた「マンション」は現在の法的には、「マンション」であり、「団地」でもあったのです。

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」では、「マンション」を次のように定義しています。
(適正化法第2条)
①2以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設
②1団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む)が当該団地内にある①に掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設

つまり、「区分所有した2戸以上の居住用の住宅」が適正化法で定義されたマンションということになります。私が住んでいた「マンション」は分譲マンションでしたので、適正化法における「マンション」ということになります。ただし、適正化法は2000年8月から施行なので、私の少年時代にはこの法律はなかったのですが・・・(年齢がばれてしまう)

さて、区分所有法にはマンションという言葉はでてきませんが、第1章建物の区分所有につづく、第2章は団地となっており、団地関係の成立については第65条において次のように定められています。

①一団地内に数棟の建物があること

②その団地内の土地または附属施設(またはこれらに関する地上権・賃借権等の権利)が①の数棟の建物の所有者(専有部分のある建物であれば、区分所有者)によって共有されていること

簡単に申し上げますと、土地または附属施設の共有があれば団地関係が成立するということですね。

ちなみに私が当時の「マンション」を離れて約20年が経過しますが、ざっくりと次のような配置になっていたと思います。(詳細については私の父に確認しました。)

団地関係図 

つまり、土地と附属施設(管理棟・集会場)の共有があるため、団地関係が成立していたということです。そのように考えると、少年時代の私が「マンション」だと信じていたものは、「団地」でもあったわけです。

さて、団地の管理ですが、標準管理規約(団地型)では、団地規約による各棟管理が(各棟の一元管理)行われていることが前提となっています。また、現実的には多くの団地で一元管理が行われています。なぜならば、私的自治の原則を最大限に尊重して各棟でバラバラに管理をしていけば、管理不全に陥る棟がでてきたり、場合によっては棟によって外壁の色が違ってくるということも考えられます。そうなると、団地全体の資産価値が損なわれることは想像に難くないでしょう。

しかしながら、区分所有法の原則は棟別管理が原則であり、区分所有法第68条による、団地の規約を定めることにより例外的に一元管理が可能になるということには注意が必要です。

私が少年時代に住んでいたマンションは団地内の土地・附属施設については全棟の区分所有者の共有に属していましたので、当然にこれらは団地の管理対象物になり、各棟を区分所有法第68条による一元管理の対象物にするには、次の二つの要件が必要になります。

①団地所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議

②対象となる区分所有建物の全部につき、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議

つまり、A棟・B棟・C棟のうち、1棟でもその棟の集会において、特別多数決議(区分所有者及び議決権の4分の3以上の多数)が得られなければ、すべての建物を一元管理するための規約を定められないことになるわけです。

区分所有法の原則にのっとった形で棟別管理を行っていたのを、途中から一元管理にするためには、以上のように二重の特別多数決議を得る必要があるので、現実的には分譲時に各棟を一元管理するための全員の合意をとったうえで、規約を設定しているケースが多いと思われます。

以前、神奈川県の相武台団地における郊外型団地の活性化の事例を書きましたが、同じような「二つの老い」の問題が首都圏の郊外の団地では起きていると思われます。今後人口減少・東京への人口の集中は止められないかもしれませんが、郊外のゆとりある生活というのも中々捨てがたいものです。幸せな少年時代を過ごす基盤となった私の住んでいたマンション(団地?)の活性化を祈りつつ筆をおきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

中央監視盤の更新

こんにちは。

マンション管理士の古谷太郎です。

神奈川県複合用途型マンションの中央監視盤が更新されました。

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このマンションは、いわゆる「下駄ばき型」になっていて、1階が店舗、地下は駐車場、その上に住居棟、事務所棟がそれぞれ立っているという構造になっています。

標準管理規約(複合用途型)では、お財布はそれぞれ分けて(全体管理費、全体修繕積立金、住宅一部管理費、住宅修繕積立金、店舗一部管理費、店舗一部修繕積立金)一つの管理組合で一元的に管理していくという考え方ですが、このマンションの場合は、区分所有法第16条でいうといころの、一部管理組合が独自に一部共用部分を管理していくという規約になっています。

具体的にいうならば、全体管理組合、住宅部会、店舗部会、事務所部会という4つの管理組合がそれぞれの一部共用部分を管理していくというふうになっています。

標準管理規約(複合用途型)でも、店舗部会と住宅部会は存在しますが、標準管理規約複合用途型60条関係コメントによると、それらの部会は一部共用部分の管理について協議する組織であり、意思決定をする機関ではないと定められています。

当該マンションでは、それぞれの部会、全体管理組合が、それぞれの管理対象とする共用部分の管理についてその部会ごとに意思決定をして予算を執行していくことになっています。(全体管理組合が管理しているのは、地下駐車場と敷地のみ)

さて、前置きが長くなりましたが、写真の中央監視装置は、事務所棟の照明や空調を制御するとともに、住宅棟の火災警報を受信し、地下駐車場の照明を制御しています。

つまり、非常に複雑な話なのですが、店舗部会以外の部会が全て関わっている装置なので、更新のための費用は、全体管理組合、事務所部会、住宅部会で、持ち分から按分して負担していく形式をとりました。

また、それぞれの部会が意思決定機関でありますので、全体管理組合、事務所部会、住宅部会がそれぞれの総会で、今回の中央監視装置の更新について承認し(普通決議)初めて事業が実施されることになります。

このように、複合用途型マンションの規約は非常に複雑であり、また、それぞれの部会の利害関係が対立することも珍しくなく、管理組合の運営が困難な状況に陥ることも予想されます。

複合用途型マンションの規約、使用細則、その他管理に関わる諸問題でお悩みでしたら、マンション管理士に相談してみてはいかがでしょうか。

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大規模修繕工事に伴う建物調査

こんにちは。

東京都・神奈川県を中心に活動するマンション管理士の古谷太郎です。

本日は、埼玉県単棟型マンションの第二回大規模修繕に伴う建物調査に帯同いたしました。

一見きれいに見えるマンションですが、近くで見ると様々な劣化が認められます。

2015-03-14 12.55.33      2015-03-14 13.32.51

2015-03-14 13.48.59      2015-03-14 13.56.36

2015-03-14 13.13.29

大規模修繕工事は多額のお金が動くため、工事を適正に行い建物の性能を維持することはもちろんですが、透明・公平な事業の進捗が最も大切であり、理事会の区分所有者に対する説明責任も求められます。

また、大規模修繕工事は、管理会社(委託マンションの場合)、設計コンサルタント、施工会社等、様々な専門家の協力なくしては決してなしえない事業です。

そのような事業の中で、マンション管理士は管理組合様の立場に立って施工方法の選定、コンサルタントや施工会社の選定、理事会の説明責任のサポート、合意形成のサポート等を行っていきます。

定期的な修繕の実施は、皆様の大切な資産の価値の維持にもつながります。

管理組合の事業の中でも、最も重要な事業の一つともいえる大規模修繕工事をマンション管理士を活用して、成功させてみませんか。

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